根尖病巣の原因は根管内に存在する汚物が異物となって根尖部が化膿した状態です。
根 管 充 填

日付、時間:Tue Dec 8 20:02:44 Japan 1998    アクセスポイント:cse7-38.nishinomiya.mbn.or.jp
氏名:     所在都道府県: 兵庫   職 業: 医師   年 齢: 39歳     
   性別: male  

質問:
たびたびの質問で申し訳ありません。今回の私事で、治療中何時も不思議に思っていた ことなのですが、皮膚疾患で、おできのような感染症の場合、切開をしてとにかく膿を排膿させてやる ことが治癒への最短方法なのに、根尖病巣の場合は、根管を充填して、密閉状態を作ります。 密閉すれば細菌が増殖して治りそうにないと、どうしても思ってしまい、何時も不思議に思いました。 根管充填はなぜ、感染症を治癒に導くのですか?充填して残った根尖部は死腔になり、 細菌が増殖するのではないのですか?何卒ご教授下さい

メールアドレス: derma777@de.mbn.or.jp   ホームページURL: http://

根尖病巣
排膿は異物の排除機能
回答  根管治療においても、急性期で排膿が著しい時には根管を膿の排出孔として開放状態にして 積極的に膿の排出を計ります。 急性炎症が治まった後や、慢性期の場合に限って根管充填を行います。
"おでき"の成因を詳しくは知りませんが、体外から進入した異物や体内の腐敗?した脂肪などが 異物となって、それを体外に排出するための生体防御反応が排膿だと理解しています。 従って、積極的に切開などを加えて"おできの芯(異物)"を排除するのが皮膚科などで行う治療 ですね。

 一方、根尖病巣の原因は根管内に存在する汚物が異物となって根尖部が化膿した状態です。 蓄積した膿の排出路を求めて形成されたのが"漏孔"で骨と歯肉を突き破って体外への排出を試み ているのだと思います。しかし、根管内に貯留した汚物は決して自然に排出されることはありません。 排膿が治まって、治癒したかにみえても原因が根管内に残っている限り腫脹と排膿を繰り返して いきます。
 ここからが歯医者の出番で、根管内の汚物を機械的・化学的に除去してやれば炎症は 治まります。これが根管治療です。ところが、折角、きれいに清掃してもそのままでは 根管が死腔となって再び汚物の貯留場となってしまいます。それを防ぐために、できるだけ人畜 無害(生体親和性が良く)で、変質しない材料で閉鎖してやれば(異物と認識されない状態を保つ) 再び炎症を起こすことはありません。これが根管充填です。
言葉で言うのは簡単ですが、技術的には結構困難な作業です。

 慢性期の根尖病巣は不良肉芽ですから、原因を失って化膿する必要がなくなれば良性転化して 組織の再生を行います。従って通常は根尖部の肉芽は除去する必要がありません。ただし、 根管内の汚物や異物を大量に根管外に押し出したりするといくら根管充填を正確に行っても 治癒しません。このような場合に行うのが、根尖部異物除去術であったり歯根端切除術です。 いずれも、根尖部の骨内に残留した汚物の除去を目的としています。

 以上歯科側からみた治療理論ですが、医学的な立場からおかしいところがあれば是非 ご教示下さい。

根管充填 根管充填 根管充填 根管充填 根管充填 根管充填 根管充填 根管充填 根管充填 根管充填 根管充填 根管充填 根管充填 根管充填