日付、時間:2004年6月2日 0:32
氏名: T.I
所在都道府県: 神奈川
職 業: その他
年 齢: 46歳
性別: female
質問:
自分の病状について悩み、インターネットで調べていたところ先生のホームページに
出会い、大いに勉強させていただきました。先生がこのような価値ある活動を続けてお
られることに感謝いたします。
下顎骨にしこりと腫れ、痛みがあり、レントゲンを撮ると右下顎7番の大臼歯の歯随が
壊死していました。抜随の為に被せていた物を取ったところ、歯がまっ二つに割れている
ことが分かりました。前後に垂直に割れていたので、レントゲンには写らなかったそうで
す。割れ方によっては2つの歯として使えるようにするけれど、この割れ方では無理だと
のことでした。炎症を抑えてから、抜歯することになるだろうと言われました。4月中旬
に抜随後、感染根管治療をしています。
実は5月中旬に抜歯の予定でしたが、腫れが引き、痛みも治まったので抜かない訳には
いかないだろうかと頼んだところ、駄目元で治療をやってみようとのことでした。しかし、
現在も治療部は開放したままで、歯茎の漏孔もまだ閉鎖していません。総合病院で患者が
とても多く、10日に1度位しか予約を入れさせてもらえないので、もどかしい思いをして
います。
抜歯せずに済む方法はあるのでしょうか?
より効果的な根管治療を受ければ排膿も止まり、症状も落ち着くのでしょうか?
私の歯にはヘミセクションを適用できるでしょうか?
もし私が先生の患者ならば、どのように対処なさいますか?
神奈川在住ですが、そちらへ伺うことも可能です。
要は、血液や汚れが貯留する空間を無くしてやれば解決の糸口がつかめる可能性が見えて
きます。例えばヒビワレの場合、これを強力に接着して血液等が入り込んで腐ってしまわない
様にできれば解決するはずですが、現実にはそのような生体親和性の良い強力な接着剤は存在
しません。従って破折した一方を除去することで空間は開放されて血液の貯留や腐敗はなくな
ります。しかし、割れ方によってはそれが不可能な形状もありますので全ての症例に適応する
わけにはいきません。
また、残った根っこに関しては通常の根管治療および根管充填により閉鎖してやれば治癒
します。極限を極めれば保存の可能性も見えてくるかもしれませんが、お伺いした状況は相当
厳しそうに思えます。近くの患者さんであれば試行錯誤を繰り返しながらも再生に成功した例
もありますが、そのために遠方から来院されても期待はずれに終わる可能性が高い様に思います。
今は開放状態だから汚れが貯留していないので安定しているだけです。これを中途半端に閉鎖
したら、すぐに炎症を起こし始めるでしょう。
その労力は、今何ともないと思っている他の歯のケアにつぎ込むべきではないでしょうか。
詳しい口腔内状況はわかりませんが、10年もすればそれらの歯ですら次々と失う年齢に突入
していきます。問題の歯を10年機能させるような奇蹟を追及するよりも、それ以外の歯を
生涯機能させるための努力の方がはるかに大きな恩恵を約束してくれると思います。
回答:
(^_^)/ ハーイ しっかりレクチャーさせていただきます。
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回答:
“以前と同じ場所に漏孔”ということは根本的解決が為されていなかったということですね。
抗生物質では一時的に改善しますが、今後も同じことを繰り返すであろうことが予想されます。
問題は、その程度と頻度です。理想的には、真の原因を突き止めてそれを排除してやること
ですが、今現在真の原因の検討がつきません。前回の治療時に歯根亀裂らしき存在はあるもの
の、根管治療が真の原因だろうと診断して根管治療を行いました。一旦改善したということは、
根管治療が真の原因だったことを裏付けるものではありますが、他にも原因が存在したであろ
うことを否定するものではありません。ただし、治療に際して他の原因となりうる存在を相当
時間費やして探したにも関わらず見つかっていないということは、っもう一度探してみても
見つけ出す自信はありません。
もう一つは、根管治療・根管充填にはかなりの自信をもって行なっていますし、それができ
たという手ごたえを感じております。しかし、現実に再発したとなると何処かに不十分な所が
あったのではないかと思わざるを得ない結果です。ならば今以上の治療を施せば治癒する可能
性があるはずですが、これはやってみないと分からないのと同じ技術で再度治療して前回以上
の結果を導き出す自信もありません。但し、状況次第では挑戦してみる価値はあると思います。
所詮完璧な治療はあり得ないという現実を踏まえて、どう対応していくかという問題です。
完璧ではないにしても、そこそこの治療はできていると推測できます。従って、たまには腫れ
るが抗生物質で押さえ込めば普段は使えるという状況であれば、当分の間そのままお使いに
なってはいかがでしょうか。要はその程度と頻度ということになりますが、月日の経過ととも
に原因となる部分に明らかなレントゲン像が出現してくると思われます。原因が判ったから
必ず対処できるかどうかは別問題ですが、どこが原因かわからない状況でつつきまわすよりは
はるかに効率的な治療が可能になります。状況次第では挑戦してみる価値はあるというのは
このことです。このままで良いとは決して思いませんが、当分の間抗生物質や時には切開・排
膿により対処しながら経過を見守ってください。