私の理論では、“象牙質知覚過敏症”は歯周疾患罹患部分の象牙質中の有機質の変質に伴う歯髄の 炎症と位置づけています。
歯髄炎末期 2

質問 日付、時間:Sat May 2 1:49:25 Japan 1998    アクセスポイント:mor20-61.rnac.or.jp
氏名: 中村  
所在都道府県 岩手   職 業その他
年 齢41
   male  

はじめまして、よろしくお願いします。  虫歯はありませんが、歯槽膿漏の治療、数年続けています。右上の奥歯なんですが、年明けに 歯槽膿漏の治療をしてから、激しくしみるようになりまして、セメントでカバーしてもらいました。 それでも’しみ’は半減程度でした。 その後、2週間に1度ぐらい、奥歯の横の(親知らず側)の 歯ぐきに痛みがあります。その部分はブラッシングしても、痛みがないときでも常に半分しびれた ような感覚です。そのたびに診察してもらうのですが、レントゲンも歯肉の状態もそれほどでない、 原因がわからないということで、鎮痛剤、消炎剤等を処方してもらって、その時は治まるのですが、 繰り返すたびにどんどん痛みがひどくなってきました。 この間は右下の奥歯まで痛みだして激痛のため一睡もできませんでした。このときは鎮痛剤が 全く効かず、死ぬ思いでした。 以前から抜歯または、抜髄を勧められてますが、原因不明のままで それはないだろうと思って拒否してました。 この間の発作の後、熱いものまで激しくしみるよう になりましてセメントを厚塗りしてもらい治まってるのですが、こちらをよく読ませていただきま すとどうも歯髄炎のようですね。抜髄やむなしと思いました。

  そこで、質問なのですが、こちらの’象牙質知覚過敏’の項に放置するととりかえしのつかない という記述がありますがどういうことでしょうか。実はその歯以外にも、歯槽膿漏治療後多少しみる 歯があるのですが、心配です。今まで、しみてもそのうちなれるだろうと思って甘く見てました。 しみるのを訴えても、歯茎が下がったんだから当たり前といわれれば、騒いでるほうが弱虫みたい で我慢してました。 よろしくお願いします。 

ご意見・ご感想:
ここにたどり着いてよかったです。

回答  知覚過敏の原因は色々ありますが、単純には、歯周疾患進行に伴う知覚過敏を“象牙質知覚過敏症” と解釈して頂いた方が分かり易いと思います。

 私の理論では、“象牙質知覚過敏症”は歯周疾患罹患部分の象牙質中の有機質の変質に伴う歯髄の 炎症と位置づけています。従って、楔状欠損などの実質欠損にともなう歯髄との距離は問題には なりません。従って、セメントでカバーする事は根本的な解決になりませんし、下手に詰めると “汚れ”の停滞を招いてかえって悪い結果をもたらすことが懸念されます。

初期の段階では、鎮痛剤、消炎剤等の投薬も有効ですし、他に様々な薬物塗布やレーザー照射等の 処置も有効です。しかし、治療には限界がありますので状況によっては“抜髄もやむなし”です。 「激痛のため一睡もできませんでした。」とのことですので該当する歯は明らかに歯髄炎 を通り越して“歯髄壊死”の状態です。即座に抜髄(この場合感染根管治療と言った方が適切 かもしれません)して下さい。

パノラマ ’象牙質知覚過敏’の項に放置するととりかえしのつかないとは、そのまま放置すると 数カ月以内に歯の周囲の歯槽骨を全て破壊して全く使い物にならなくなるからです(図参照)。

歯茎が下がったことは歯周疾患の進行を示唆するものですから決して無視できない現象ではあり ますが、歯周疾患の進行を抑えれば改善の見込みはあります(距離や形の問題ではありませ ん)。スケーリングやブラッシング、更には薬剤・レーザー等によって象牙質の改善を 計れば抑制の可能性が高いと思われます。スケーリングなどの歯周疾患治療の直後に若干滲みる ことは間々あることですが、それはあまり気にしないで根本的な滲みが治まるかどうかに注目して 下さい。

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