日付、時間:2004年5月26日 23:58
氏名: K
所在都道府県: 大阪
職 業: 主婦
年 齢: 36歳
性別: female
質問:
インレー、セメントの選択で悩んでいます。現在、虫歯の治療中なのですが、小さいこ
ろから歯が弱く、ほとんどの歯に金属のインレー、アンレー(5本無髄歯です)が入って
います。10年以上も前の治療であり、明らかに二次カリエスがみられるので、やり替え
た方がいいと言われました。ただこれ以上、金属を入れるのにも抵抗があり(少しアレル
ギーがあるので)CRも環境ホルモンなどもありますので、セラミクスにしようか迷って
います。
感想:
本当に勉強になるHPです。これ以上、充実したHPは他に見当たりません。これ以上、
歯が悪くならないようにはメンテナンスがどれだけ大切か教えていただきました。
「レジンのモノマーが象牙細管を伝って、歯の神経を腐らせる」というのは10年以上前の
話です。最近の材質にもその懸念がないとはいえないけれど、親和性が極端に向上してかえって
歯髄を保護する役目もあるかのごとき印象です。
セラミックは非常に脆い材質ですので、応力が一点に集中すれば簡単に破折することから
歯と強固に接着して一体化させる必要があるので、通常接着性に優れたレジン系セメントを
使用します。おそらくそれ自体大きな問題はないのかも知れませんが、強固な接着性により
形成面以外の部位にもセメントが接着してのちのち歯肉炎症の原因になることを危惧してお
ります。破折しやすいのと残存セメントの問題があって、私の医院では現在セラミックイン
レーは取り扱っておりません。金属インレーの場合も、接着性よりも残留しないで簡単に
除去できる一番クラッシクな燐酸セメントを使っています。
CR充填は普通に行なっています。これは過去のものに比べて非常に品質が向上していま
すので、これによる歯髄炎はほとんど心配していません。
無髄歯の補綴物再製にあたって、余程大きな病巣が確認される場合や臨床症状の認められ
る場合を除いてむやみに根管治療を行なう必要はありません。例え小さな病巣が認められた
としても症状が無ければそのまま上部構造だけをやり替えます。ただし、将来の根管治療を
考慮してできるだけ簡素というかあとで除去しやすい修復方法を選びます。“細菌が入り根
管に感染したり”は炎症発生のメカニズムに叶わない全く無用な考えです。
“出来るだけ生体に親和性があり、安全なものを選択したいと思っているのです”は悪い
発想ではないとは思いますが、現実の歯科医療レベルでは対処できないレベルであると同時
に“本の少しだけまし”な治療に対して莫大な金額を支払う覚悟がないと叶わないことです。
私の推奨するお金の使い道としては、これ以上金属を増やさないためのケアに目覚めて、そ
こにお金を投資すべきという方向です。
セラミクスはどのようなものなのでしょうかと聞かれても分かりません。七宝焼きの原理
で、金属にセラミックを焼き付けたモノというのでは回答になりませんか。詳しい成分分析
までは考えたことがありませんでした。