まずはあせらずに経過をみておくべきです。

上顎洞穿孔

日付、時間:2004年4月13日 14:42  氏名:  K.T.   
所在都道府県:  香川  職 業:  その他  年 齢: 39歳      性別:  male 

上顎洞穿孔 質問:
 はじめまして。親知らず抜歯後の歯性上顎洞炎の治療について質問いたします。
約1ヶ月前右上顎第2大臼歯の部分的義歯がはずれたため、近医を受診しましたが、その際 その隣の親知らずが斜めに生えていて、今後再度義歯の脱落、口臭、う歯の原因になるか もしれないので抜歯しておきますかと軽くいわれたため、抜歯をお願いしました。抜歯中 何やらてこずっている様子で最後にどこか縫合しているようでした。上顎洞炎については 手術前後にインフォームドコンセントはありませんでした。抗生物質、鎮痛剤を処方され 帰宅しましたが、同日より空気が鼻に抜けるような感じを自覚しておりましたが、気のせ いと思い放置していました。
 以後他の歯についても治療継続し、3週間くらいたっても痛みが持続するので相談したと ころ知覚過敏言われそのうち治るだろうと軽く考えていました。ところが4週間後に右眼を まばたきすると周囲に痛みが出現し、軽い頭痛が出現しました。また今まで体験したことの 無い悪臭と味のする鼻汁を右鼻腔に認めこれはただ事ではないと思い頭部レントゲン、MR Iを撮影したところ、右上顎洞に膿の貯留を認めました。耳鼻科で診察していただいたとこ ろ抜歯部分にペン先ほどの穴が開いているといわれ以後毎日洗浄と吸引に通院し抗生剤を内 服し穴はほとんど見えなくなり膿も減っています。圧をかけるとまだ空気は鼻に抜けます。

 現在まだ抜歯部分に痛みがありますが、今後保存的な治療でろう孔が閉鎖するのでしょう か。あるいは入院して耳鼻科的手術が必要なのでしょうか?
主治医はそのうち閉じると言いますが、他の歯科医は簡単には閉じないので手術が必要では ないかと言います。また耳鼻科の主治医は上顎洞炎が落ち着いてまだ閉鎖していないような ら硝酸銀で粘膜の癒着をはかってみてはとおっしゃいました。私としてはできるだけこのま ま保存的に治療を継続したいと思いますが、上顎洞炎から脳膿瘍、髄膜炎などの合併症をき たすと聞いたいたこともあります。先生のお考えをぜひお聞かせ下さい。小さい子供も抱え ておりとても不安です。よろしくお願い致します。

  回答
 上顎の臼歯と上顎洞は、解剖学的位置関係から抜歯により交通することは珍しいことでは ありません。仮に交通してもそのほとんどが炎症を起こすことも無く数週間で閉鎖してしまい ます。

 稀なケースとはいえ、実際に炎症を起こしてなかなか塞がらないのですから心配ですよね。 この場合大切なことは、炎症を起こした原因が何であるかを特定することです。単に穴が空 いたからというのは(おそらく)理由になりません。例えば抜歯した歯の一部や歯石が上顎 洞に迷入したとか、周囲の歯に根尖病巣があったとか何か原因があったはずです。
 耳鼻科で行なった処置により症状が改善しているようですが、何か原因と思われるものを 除去したのか、単に薬で抑えているだけなのかが問題です。偶然にしろ、炎症を起こすべき 原因が除去されていたとすればこのまま治癒するはずです。そしてかなりの確率で閉鎖する はずですので、まずはあせらずに経過をみておくべきです。

 稀なケースではありますが、炎症が治まって何らの症状もないのに何年経っても塞がらな いという例があります。そうなってからでも、簡単な上顎洞閉鎖術を行なえば、これまたほ とんど塞がってしまいます。それでも塞がらない場合には、本格的な上顎洞閉鎖術で一件落 着。