歯茎の退縮は、金属が擦り減るのとメカニズムが全く異なります。
矯正と歯肉退縮

日付、時間:2003年11月11日 16:27   氏名:   佐藤霞  
所在都道府県: 北海道    職 業:  学生  年 齢: 18歳      性別: female 

矯正と歯肉退縮 質問:
 今年の1月ぐらいからたったの10ヶ月間の間に2o近くも歯茎が下がってきてしまい ました。もともと矯正をしていたので、かかりつけの歯科医院にいって診てもらったので すが、「ワイヤーが付いているから磨きにくいからだ。」「歯を磨くのが強すぎる。」と 言われ、軽い歯周病にもかかっているらしく、ブラケットを外してもらいました。歯の磨 き方も、今まではかなり強く時間をかけて徹底的にしていたのですが、3分くらいで終わ らせるようにし、歯ブラシを軽く当てて優しく磨くようにしていましたが、症状はよくな りません。歯磨き粉を歯周病用や歯茎を強くするものなどに色々変えてみたりもしました が、日に日に下がってきます。
 別な歯科医院でも診てもらったりしましたが、「下がったと思うのはあなたの気のせい です。短期間でこんなにさがったりする病気はありません。元々あなたの歯は長いんです 。」などと言われ、一時は考えすぎかと思ったりもしましたが、やっぱりどんどん歯の隙 間が広がってきて全体的に歯根も見え、凍みるようになり、更に歯もぐらぐらしてきまし た。せんべいなど堅いものを食べようとすると、折れてしまうのではないかと思うほどと ても堅く感じます。御飯を食べるときも会話をしているときも歯がカタカタと動いている 感じがわかります。
 私は鬱病で精神的に参っていて、胃の方も悪く毎日胃薬を飲んでいます。かかりつけの 医院の先生は「ストレスからくるのではないか。」とか「内臓が悪いからではないか。」 「優しく歯磨きしていたらこれ以上下がらない。」など言うだけで、投薬してくれたりす ることもなく、何もしてくれません。私は容姿にコンプレックスを持っているので、この 先入れ歯になってしまうのではないかと不安でたまりません。犬歯の部分の歯茎が異様に 下がっていて、常に引っ張られているような感覚がします。たまにズキズキと痛みを感じ ることもあります。
 現在通っている医院の先生には、「歯石が付かないようにすれば、歯茎も元に戻ってく る。」と言われ、週に1度歯石除去してもらっていますが、症状は悪化しています。どう したらいいのでしょうか?今では人前で笑うことさえ怖いです。

回答  「歯を磨くのが強すぎる。」というのは困った発言ですね。こんな理に叶わないその場しの ぎの言い訳みたいな説明をするから世の中が困惑して迷宮に迷い込んでいるように思います。 歯茎の退縮は、金属が擦り減るのとメカニズムが全く異なります。強く磨いても健全な歯肉で あれば退縮することはありません。不健全、もしくは他の要因で歯槽骨が破壊された結果が 歯肉退縮であることをまず認識して下さい。

 一般に歯槽骨の破壊は歯石やプラークの沈着による…つまり歯槽膿漏…が最もポピュラー な原因です。ブラケットやワイヤーなどを多用する矯正は、汚れの沈着を助長しますので 歯槽膿漏の進行を一時的に促進すると考えられています。しかし、審美的な要求を満たす でけでなく、術後の歯並びは汚れの貯留を抑制しますのでトータル的には歯槽膿漏抑制に プラスに働くとも考えられます。
 歯槽骨の破壊は歯槽膿漏だけではなく、矯正による過剰な外力もその一つです。歯の移動 には、骨破壊と骨添加のバランスによって正常に行なわれるものですが、添加が間に合わな いようなスピードで破壊だけが行なわれれば結果として歯槽骨の喪失につながります。“週 に1度歯石除去”は結構なことですが、適切な矯正力であるかどうかも検証してみる必要が あります。レントゲンを撮って、骨破壊程度がどの程度で、その破壊形状から原因を推測す る事も可能だと思います。
 もう一つ確認しておきたいことは、仮に骨破壊が2o近くもあるかどうかです。矯正装置 や不十分な歯磨きによって腫れあがっていた歯肉が歯磨きによって健康さを撮りもどして引 きしまっただけかも知れないからです。