根本的な解決は、的確な根管治療によってのみ実現します。
根尖部の手術のお誘い

日付、時間:2003年1月22日 16:32  氏名:  M、N   
所在都道府県:  埼玉  職 業:  その他  年 齢: 32歳      性別:  female

根尖部の手術のお誘い 質問:
 とても参考になり、いつも興味深く拝見しております。似たような質問はいくつかあるのです が直接自分の症状を説明して回答して頂ければと思い質問させて頂きます。
 左前歯の隣の歯をちょうど一年前に形が変だったので神経治療をしてさし歯にしました。途中 ズンズンした痛みがあったので一度やり直しをして頂きましたが3ヶ月くらい薬の詰め替えで痛 みが軽減したのでさし歯となりました。しかしすっきりした感じが無くなんとなく痛いような感 じでこの一年過ごしていました。検診もかねて思い切って大学病院で見てもらおうと思い見て頂 いたのですがレントゲンでは一生懸命治療されていると思いますよということでした。ただやり 直した時に薬?が根の外にはみ出しているのが写っていて、普通は何ヶ月かすると自然に吸収され るのですがいまだに残っているのでそれが原因で多少の痛みになっているのではないかといわれ ました。
 全部はずして根の治療をもう一度やり直すか?もしくは歯茎を切って薬を取るかということを 言われたのですがいちよう保留にして帰ってきました。今後の治療方法をどのようにしたらよい か迷っています。
虫歯ではなかった歯なのにと後悔でいっぱいです。どうぞ宜しくお願い致します。

回答
 (~ヘ~;)ウーン やはり根管治療の不備でしょう。
“薬がはみ出している”云々は二の次にして、ご本尊である根管治療に不備があるからこそ 現れた…というか消失しない症状です。根本的な解決は、的確な根管治療によってのみ実現 します。“的確な根管治療”を無視したいたずらな治療(歯茎を切って薬を取る)は、“最善 ?を尽くしたけれどもダメ→抜歯しましょう”というセレモニーにすぎません。
 根本的な治療と抜歯のためのセレモニーを同列に扱って選択を迫るという心境が私には理解 できません…というかそれが今の歯科医療の王道である現実に嫌悪感を催します。
 根尖部の手術を参考にしてください。


返信:2003年1月23日 9:48
こんなに早く御回答頂けるなんて思っていませんでしたので思わず感動してしまいました。有 り難うございました。
 やはりすべて壊して再治療のみが治癒の道だと解りました。そこで再度質問なのですが、根 のほうもしっかりしていてレントゲンでも異常が見られない歯に対してどれくらいの成功率が あるのですか?
やり直して抜歯しかありませんと言うことはありえるのでしょうか?
いちようこのまま大学病院で治療を進めていくつもりなのですが先の見えないことにとても不 安です。それから、たまになのですが小さくズンと響くことがあります。激しくズキンとする ことはないのですがこれは根尖病巣の症状ですよね。なのにどうしてレントゲンに影が写らな いのですか?
大学病院の先生は急性の場合は影は写らないと言っておられましたが、膿を持っていてレント ゲンに写らないなんてことはあるのですか?
何もわからず無知な私なのできちんと理解したうえで治療に望みたいと思っています。どうぞ 宜しくお願いします。

回答:
 骨内で炎症が起こればその周囲の骨が破壊されます。炎症が長年にわたってゆっくり進行した 場合(慢性炎症)、骨はじっくり破壊されて完璧に破壊されていきます。その結果レントゲン的 にも明らかな破壊像が確認されます。その点、急激な炎症が起こった場合(急性炎症)、余りに も周囲への波及が早く不完全な骨破壊になりますのでレントゲンでは確認し難くぼんやりした 破壊像になります。
 また、根尖部の唇側骨が非常に薄い場合、わずかな骨破壊で穴が開いてしまいますので炎症が 骨面と歯肉との隙間で成長して骨をほとんど破壊しないケースも考えられます。

 根管治療の治癒率に関して、河田歯科医院では90%以上と申し上げておりますが、大学病院 を含めて全国平均はおそらく50%程度ですので“やり直して抜歯しかありません”と言われる 可能性は十分あると思います。その場合もあくまでも的確な根管治療をしてくれる医院を探す ことが唯一治癒の可能性を模索する手段です。


返信:2003年3月12日 12:26
 1月22日に質問させて頂いたものです。その後も大学病院に通っていますが河田先生の言う とおり歯茎を切って薬を出すと言うことはとりあえずやめて頂きました。レントゲンで根の先 に影があるとかはなく異常はやはり見当たらないとのことなのですが、歯根膜にうっすら影が あるかな?と少し頼りなさげにお話していました。
 要するに左の前歯の隣の歯が下の歯とかみ合うときにぶつかっていてその刺激によって歯根 膜炎がおこっているとのことでした。咬合性外傷に伴う歯根膜炎。確かにさし歯を入れた時か らずーっと違和感があり、話をしをしている時も良くその歯と下の歯がカチッと当たることが あり、当たるとやはり痛みはありましたが当たらなくてもなんとなくいつも痛いという感じで した。先生いわく歯に指した金属の土台があまりにも垂直に立てられているので土台を少し削 って下の歯と当たらなくかり歯を作って様子を見てそれでも痛みが治まらないようだったら土 台をはずして神経治療をやり直しましょうと言われました。大学病院は予約をとるのも大変で とても時間がかかる為、なんかとても長い治療になりそうで不安になりました。
 このような治療で少し様子を見るということは意味のあることなのでしょうか?
今のところ相変わらずの痛みで悪くも良くもなっていません。どうぞ宜しくお願い致します。

回答:
 術後の一時的な痛みであったり、炎症があっても根管治療の不備がわずかであれば、炎症が 慢性化して序々には進行するものの痛みがほとんどないという状態に変化することを期待して いるのだと思います。
 金属ポストを除去するには、時間がかかるだけではなく、残った歯根を破折させてしまうリ スクがあります。しかも、無事はずしたとしても根管治療の技術に自信がなければ、症状の 緩和どころかかえって痛みが増す可能性もあります。それこれ考えれば、できるだけ関わりた くないというのが本音でしょう。日本の最高権威である大学がその調子ですので、根管治療が いかに貧弱な成績であるかが伺われます。対処方法として、とにかくケアに励んで、二度と 抜髄や根管治療にならないよう心がけてください。


返信:2003年6月3日 14:30
 3月22日に神経の再治療について再度質問させて頂いた者です。あれから大学病院で噛み あわせを見てきましたが、痛みが治まらないのでようやく土台をはずして根の再治療をしても らいました。治療中、針のようなものを中に入れた時、ズキンという痛みがありました。河田 先生はその痛みの部分をリーマーで綺麗に掃除しないと駄目だといっていましたが、リーマー でごしごしはしていません。大学病院の先生は「汚れもないし、超音波で中を綺麗にした時、 何も浮いてこなかったからもう綺麗になっていると思います。水酸化カルシウム?(固形の薬) を入れておきましたからしばらく様子を見て下さい」と言っていました。それから今まで、そ の歯と下の歯が強くぶつかっていたのですがまったく当たらないように仮歯を治してもらいま した。
 治療して1週間がたちます。前のような何もしない時の痛みはなくなりましたが、やはりそ の歯をコンコンたたくと多少痛みます。前に河田先生の回答の欄で噛みあわせを変えてあげる と一時は痛みが軽減するが結局きちんと掃除ができていなければ治癒も見込めない。と言うよ うなことが書いてあったのを見て、今回の治療できちんと炎症部分が綺麗になっているのか不 安です。
何をもって治癒したといえるのでしょうか?
今回の治療は適切な治療と言えるのでしょうか?
3週間後予約を入れてありますが、その時にまだ痛いと言うことになると抜歯しかないのでし ょうか?
いろいろ申し訳ありませんがご意見聞かせて頂けないでしょうか?どうぞ宜しくお願い致します。

回答:
 症状に変化があったということは、根管治療が何らかの形で関与していたことを裏付けます。 “多少痛みます”は治療の不完全さを疑います。病巣を掃除するのではなく、根管内の汚物を 如何に綺麗に掃除するか。それには超音波だけでなく、リーマで機械的に全てを掃除する。 そして無意味・時には有害とも思える水酸化カルシウムは使用しない。この辺が治癒率50%と 90%の違いのようですが、権威ある大学病院での処置ですので現代歯科治療の限界かもしれま せん。
 治療の完成度はともかく、今回の治療は適切な治療と言えると思いますよ。少なくとも 歯根端切除よりは数段適切です。


返信:2003年6月4日 10:09
 早速のお返事有り難うございました。
「多少痛みますは治療の不完全さを疑います」とのことなのですが次回の予約の時、まだ多少の 痛みがあった場合、充填はしてもらわない方がよろしいのでしょうか?
しかし河田先生のいう無意味・時には有害とも思える水酸化カルシウムの使用を続けていても良 くないようですし、リーマーで掃除して下さいと強くお願いしたほうがよろしいのでしょうか?
「治療の完成度はともかく、今回の治療は適切な治療と言えると思いますよ」と言うご意見を聞 いて少しは安心したのですが・・・
 河田先生は掃除後、即日充填という治療といっておりましたが、3週間という時間をおいて様 子を見るということは意味があるのでしょうか?
次回の予約の時、どのような治療が一番適切なのですか?
病巣があった訳でもなく虫歯でもなかった歯ですのでなんとか抜歯だけはしたくありません。お 忙しいところ申し訳ありませんが、ご意見聞かせて下さい。宜しくお願い致します。

回答:
 まずは担当されている先生を信じて治療を続行されてはいかがでしょうか。私の理論や考え方 では水酸化カルシウムは無意味・時には有害ですので一切しようしませんし、3週間という時間 は全く無意味どころか有害ですが、それでも50%、いやそれよりはもう少し確率の高そうな治療 のように思えますので任せても良いと思います。偉そうに申し上げている私も成功率90%ですか ら。「リーマーで掃除して下さい」は要望しても良いと思いますよ。

類似症例参考にして下さい。


返信:2003年8月20日 15:29
 6月3日に神経再治療のことで再度質問した者です。お世話になりました。
あれから2ヶ月、薬の交換を3回ほどしました。リーマーを使ってお願いしたい旨伝 えたのですがリーマーをつかうと歯が薄くなってしまっていい歯まで削れてしまうの で使いませんといわれてしまいました。何とかそれでも痛みが軽減してきて、充填す ることになったのですが、その時、薬をはずして針のようなものを中に入れた時、チ クッと鋭い痛みがあって大学の先生に痛いですと伝えました。すると、神経ではなく て歯根膜が感じているのであって先端まで前の充填物がきちんと取れているから歯根 膜まで到着できるのですよ。その痛みは大丈夫です。と説明されました。
 確かにレントゲンを撮ったら先まで白く写っていました。しかし前の医院でも充填す る時、痛みがあったのでとても心配になりました。もし前の充填物が残っていると先 まで到達しないという説明はわかるのですが一番奥まで針を入れた時、神経がない歯 でも痛みは感じるものなのですか?それともまだ一番先に炎症が存在するのでしょう か?
充填時、このような痛みはあって当たり前なのですか?
 とりあえず充填後の痛みは今のところありません。
大学の先生いわく、レントゲン的に病巣がはっきり写っていれば、目に見えて治って 行く様子がわかるが私の場合、レントゲン的には何の異常もない歯なためにこれ以上 の治療はできないということでした。
リーマーを使わないという時点で私としてはとても不安な気持ちでしたが河田先生に もとりあえず信頼してお任せした方がいいという意見を頂きようやくここまでたどり 着きました。大変お忙しいとは思いますがどうぞ宜しくお願い致します。

回答:
 なーんかスッキリしきらない話しですが、術後の痛みがないとするならば、とりあえず 結果オーライで宜しいのではないでしょうか。原因さえ取り切れれば薬は無用、無用どこ ろか有害な薬を使いつづけて症状を増長したあげく、薬の使用を止めて傷口を塞いだという 感じです。それでも偶然にも原因が除去されていれば炎症が治まることもある。あとは、再 び汚れが貯留しないような根管充填がどれだけの完成度で行なわれているかが将来の運命を 左右することになります。あとはおとなしく結果を待つだけという状態ですので、そのまま 経過をみられれば良いと思います。
 根管充填時の痛みは、一応の参考にはなりますが将来を左右する確率は約半分。清掃と 封鎖が完璧であれば経過は良好です。反対に充填後の経過が良いということは処置がそれな りに適切であったことを意味します。レントゲン的にも完成度の高い充填のようですので、 それ以上の心配はしても何も良い結果をもたらしません。将来、再び根尖部に炎症を起こす ような事態になれば、再度今以上完成度の高い治療を施せば再び治癒する見込みあります。