腫瘍や炎症によって破壊された骨は、原因を除去して犯された骨を除去すれば再び元の
姿に回復します。結核やSARSに犯された体も、元と変わらない状態に回復します。と
ころが歯は、いくら犯された部分を削り取っても元の姿に回復することはありません。一
旦犯された歯の神経も、多くの場合元の健康を取り戻すことは期待できません。
手遅れな治療がいかに期待はずれな結果であるかをもっと深刻に受け止めて、早期治療と
進行抑制の重要性を一般医療と区別して考えないと、過去から永遠に繰り返されている悲劇
を克服することは不可能です。
ケアが大切という歯科医の訴えは十分浸透しているように思います。しかしその忠告を
「歯磨きさえしていれば大丈夫」という勝手な解釈でそれ努力を惜しむ習慣から一刻も早
く脱却してください。「歯磨きさえしていれば大丈夫」は人生50年だった頃の真実。人生
80年に対応したケアを実践することが必要になった今、歯科医の利用方法も大きく変化し
ていることを考え直してください。
2003.6.22.