歯科医療の特殊性
「歯は治らない」という歯科界の常識を理解した上での利用方法


歯科医療の特殊性  歯科医の治療範囲が歯の周辺組織や隣接する耳鼻科領域にまで進出している現在、境界 が不明瞭であると同時に、求められる知識も変化しています。しかし、歯科治療のルーツ はあくまでも歯そのものの治療です。歯そのものと歯の周辺組織の決定的な違いは生体の 自然治癒能力が及ぶかどうかなのです。
 歯の周辺組織については、歯科医の経験も浅く満足な治療結果が得られているとは言え ないのが現状です。今後の歯科医療発展を患者さん共々願う一方で、歯科医療の特殊性と 治療限界を正しく理解して自らの健康を維持する対策を実践していただきたいと願ってい ます。

 腫瘍や炎症によって破壊された骨は、原因を除去して犯された骨を除去すれば再び元の 姿に回復します。結核やSARSに犯された体も、元と変わらない状態に回復します。と ころが歯は、いくら犯された部分を削り取っても元の姿に回復することはありません。一 旦犯された歯の神経も、多くの場合元の健康を取り戻すことは期待できません。  手遅れな治療がいかに期待はずれな結果であるかをもっと深刻に受け止めて、早期治療と 進行抑制の重要性を一般医療と区別して考えないと、過去から永遠に繰り返されている悲劇 を克服することは不可能です。

 ケアが大切という歯科医の訴えは十分浸透しているように思います。しかしその忠告を 「歯磨きさえしていれば大丈夫」という勝手な解釈でそれ努力を惜しむ習慣から一刻も早 く脱却してください。「歯磨きさえしていれば大丈夫」は人生50年だった頃の真実。人生 80年に対応したケアを実践することが必要になった今、歯科医の利用方法も大きく変化し ていることを考え直してください。

      2003.6.22.


良質の 医療提供 良質の 医療提供 良質の 医療提供 良質の 医療提供 良質の 医療提供 良質の 医療提供 良質の 医療提供