このコーナーでは、歯科医学雑誌に掲載された論文を紹介します。

病理組織図
解説

病理組織
咬耗

咬耗とは、咬合や咀嚼によって硬組織、エナメル質や象牙質の欠損を生じた状態をいう。咬耗 は、一般に前歯では切縁、臼歯では咬頭から始まる。咬耗は、生理的に加齢とともに進行し、 老齢者の歯牙では著明である。肉眼的には欠損面は一般的に滑沢な面を示す。咬耗部の象牙質 は透過光線により不透明象牙質(硬化象牙質:死帯(dead tracts))を形成する。また、この 不透明象牙質の一部が石灰化の亢進を起し、硬化象牙質が見られるとその部分は透明となる。 さらに、咬耗部の歯髄腔壁には、第二象牙質の形成をみる。これは、外来の刺激から歯髄を防 御する働きがある。咬耗面(AT)、不透明象牙質(硬化象牙質)(OD)、エナメル質(E)、象牙質 (D)、第二象牙質(SD)、歯髄(P)、レチウス条(SR)


病理組織
摩耗、楔状欠損

摩耗とは、歯質の消耗が咀嚼以外の機械的な原因による場合をいう。歯ブラシなどの不適切な 使用により起きることが多く、歯牙の唇頬面の歯頚部に好発し、欠損部は楔状(楔状欠損)を 示す。摩耗部の象牙質は透過光線により不透明象牙質(硬化象牙質:死帯(dead tracts))を 形成する。また、この不透明象牙質の一部が石灰化の亢進を起し、硬化象牙質が見られるとそ の部分は透明となる。さらに、摩耗部の歯髄腔壁には、第二象牙質の形成をみる。これは、外 来の刺激から歯髄を防御する働きがある。摩耗面(A)、楔状欠損(WD)、不透明象牙質(硬化象 牙質)(O)、エナメル質(E)、象牙質(D)、第二象牙質(SD)、歯髄(P)、セメント質(C) 


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裂溝齲蝕

エナメル質齲蝕では、裂溝部から始まる裂溝齲蝕と隣接面、平滑面から始まる平滑面齲蝕があ げられる。裂溝齲蝕では、そのエナメル質齲蝕の広がりは円錐形を示し(齲蝕円錐)その底部 が象牙質にある正円錐形を呈す。また、急性齲蝕は、この裂溝齲蝕に多く見られる。エナメル 質(E)、裂溝齲蝕(F)、レチウス条(R)、エナメル葉(EL)、象牙質(D)


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平滑面齲蝕

エナメル質齲蝕では、裂溝部から始まる裂溝齲蝕と隣接面、平滑面から始まる平滑面齲蝕があ げられる。平滑面齲蝕では、そのエナメル質齲蝕の広がりは円錐形を示し(齲蝕円錐)その底 部がエナメル質表層にある逆円錐形を呈す。また、慢性齲蝕は、この平滑面齲蝕に多く見られ る。エナメル質(E)、平滑面齲蝕(SC)、レチウス条の明瞭化(AR)、象牙質(D)、脱灰層(CE)、不 透明層(OD)


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象牙質齲蝕臨床所見

象牙質が齲蝕になると、脱灰により軟化をおこす。これを軟化象牙質 softened dentin とい う。軟化象牙質は急性齲蝕では多量に形成される。これは、湿潤性で着色は少ない。慢性齲蝕 では軟化象牙質の形成は少なく、乾燥性で着色が強い。

組織学的所見

齲蝕象牙質の主体は、軟化象牙質であり、脱灰はまず酸抵抗性の低い管周基質から始まって管 間基質に及んでいく。一方、象牙線維が破壊され、管周基質の脱灰消失によってできた空隙に 細菌が進入する。これが象牙細管内細菌感染である。感染した象牙細管は拡張を起こして側枝 にも広がり、急性齲蝕では深部に円形の数珠状拡大を形成し、慢性齲蝕では表層部にみられる 漏斗状拡大である傾向が強い。数珠状拡大はしだいに大きくなり隣接する象牙細管をも巻き込 み、さらには、隣接象牙細管に起こった数珠状拡大と融合して大きい病巣となる。これを感染 空洞とよび、象牙基質が脱灰されたため収縮を起こして象牙質層板に一致して空隙を形成する ことがあり齲蝕裂隙という。裂隙は細菌の培地になるばかりでなく。未感染象牙細管を横切る ように拡大するので、齲蝕病巣も急速に拡大することになる。漏斗状拡大(*)、液化壊死(LN)、 細菌性プラーク(BP)、感染象牙細管(IDT)


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象牙細管内細菌感染

象牙細管内細菌感染とは、脱灰はまず酸抵抗性の低い管周基質から始まって管間基質に及んで いく。一方、象牙線維が破壊され、管周基質の脱灰消失によってできた空隙に細菌が進入する ことである。感染した象牙細管は拡張を起こし、急性齲蝕では深部に円形の数珠状拡大を形成 し、慢性齲蝕では表層部にみられる漏斗状拡大である傾向が強い。数珠状拡大はしだいに大き くなり隣接する象牙細管をも巻き込み、さらには、隣接象牙細管に起こった数珠状拡大と融合 して大きい病巣となる。これを感染空洞とよび、象牙質基質が脱灰されたため収縮を起こして 象牙質層板に一致して空隙を形成することがあり齲蝕裂隙という。裂隙は細菌の培地になるば かりでなく。未感染象牙細管を横切るように拡大するので、齲蝕病巣も急速に拡大することに なる。感染象牙細管(IDT)、管周象牙質(PD)、管間象牙質(ID)


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歯髄内石灰化

歯髄内に歯髄内石灰化が見られることもある(図中、*)。


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慢性歯肉炎

歯肉炎:歯肉組織に限局した非特異性炎。急性歯肉炎と慢性歯肉炎に区別される。急性歯肉 炎では、臨床的所見としては歯肉の発赤、腫脹がみられ、接合上皮は歯質から剥がれ歯肉ポ ケットが形成される。慢性歯肉炎では、初期には歯肉辺縁がうっ血して暗赤色になり、わず かな刺激で出血を起す。炎症性変化が進展すると歯肉ポケットからの排膿をみることがある。 慢性歯肉炎は、プラークの付着により発現してくる。Ca: 歯石と歯垢、D: 象牙質、Ce: 歯肉 溝上皮、Pe: 歯周ポケット上皮、*: 歯周ポケット、Ae: 接合上皮の進行増殖


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慢性辺縁性歯周炎

慢性辺縁性歯周炎:歯周組織に炎症が波及して、歯周組織を破壊して歯牙の支持に影響を及 ぼす慢性的な疾患。臨床的には、歯周ポケットの形成と歯槽骨の吸収を伴い、歯牙の動揺を などを起こす。歯肉炎や急性辺縁性歯周炎に続いて起きる。Ca: 歯石と歯垢、D: 象牙質、 Ce: 歯肉溝上皮、Pe: 歯周ポケット上皮、*: 歯周ポケット、Ab: 歯槽骨、Sc: 歯肉縁下歯石


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歯根肉芽腫

歯根肉芽腫は、歯髄炎または歯髄壊疽に続いて起きる急性化膿性根尖性歯周炎によって生じた 化膿性病変からおきる。病巣内の細菌感染がおさまり、根尖孔からの新たな細菌感染がなくな ると、症状が鎮静化して膿瘍を形成して、その後排膿すると、その部分から肉芽組織が増殖し て肉芽腫となる。また、マラッセの残存上皮から由来すると考えられる重層扁平上皮の増生が みられる。 Sq: 重層扁平上皮、 Gt: 肉芽組織、 Cp: 被膜


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歯根嚢胞

慢性根尖性歯周炎の病巣内に嚢胞が形成されたもので、根尖性歯周炎の歯根肉芽腫から進展し てできる。顎骨に発生する嚢胞としてもっとも多く、根尖病巣の約40%に歯根嚢胞が認めら れる。上顎切歯に好発する。
臨床的所見:
一般的に無症状でX線検査で発見されることが多い。嚢胞内溶液は、淡黄色もしくは黄褐色の 液成分で、コレステリン結晶を含むことが多い。また、X線像のみで鑑別することは難しい (歯根肉芽腫)。
組織学的所見:
内側から上皮層、肉芽組織層、線維性組織層の3層に区別できる。通常、嚢胞壁は慢性炎症を 伴っている。上皮層は、一般に非角化性重層扁平上皮よりなっているが、時には角化性変化を 示したり、円柱上皮、繊毛上皮、粘液細胞などを認めることもある。上皮の由来はマラッセの 残存上皮であることが多い。上皮層には硝子体hyaline bodyがみられることもある(Rushtonの 小体とも呼ばれる)。炎症の程度により、その程度が強いとほとんど上皮がなくなり肉芽組織 が主体になり、弱いと上皮索を形成して炎症性肉芽組織内に増殖する。さらに、炎症が小体す ると、肉芽組織は線維性結合組織におきかわり、上皮も平坦になる。
  肉芽組織層は、毛細血管、線維芽細胞、炎症性細胞からなり、炎症が強い場合には、毛細血管 の拡張や水腫がおこり、白血球が浸潤している。ラッセル小体もしばしば認められる。ラッセ ル小体:形質細胞の変性で、小胞体腔内にγーグロブリンが蓄積したもの。炎症が弱くなると、 リンパ球、形質細胞が増えてきて、泡沫細胞(黄色腫細胞)がみられるようになり、コレステ リン裂隙(*印)やヘモジデリンの沈着が認められる。泡沫細胞(黄色腫細胞):脂肪を取り 込んだ組織球。
Cl:嚢胞腔、Cp:被膜(線維性結合組織)、Ep:上皮の被覆(重層扁平上皮)、Gt:肉芽組織


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慢性潰瘍性歯髄炎

慢性潰瘍性歯髄炎は、一般に齲蝕による象牙質の破壊が大きく、歯髄が直接口腔と交通する露 髄状態を示したときにみられる。これは、開放性歯髄炎のひとつである。通常、露髄面には細 菌性プラークなどが認められる。表層には、多形核白血球の死骸で構成される膿や線維素、線 維素性滲出物などがみられる。組織学的には、深部では、肉芽組織の形成が認められる。肉芽 組織は、毛細血管と線維芽細胞で構成される。その中に、慢性の炎症性細胞浸潤がみられる。
Cc: 齲窩、Bp: 細菌性プラーク、Fu: 潰瘍面、D: 象牙質、Gt: 肉芽組織、P; 歯髄


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象牙芽細胞層の消失

露髄して感染している歯髄近くの象牙芽細胞は、炎症により消失している(矢印)。
P: 歯髄、Ob:象牙芽細胞、 


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象牙質とむし歯

象牙質は、チューブがよせ集まって できている。チューブ(象牙細管)の 中には、歯髄細胞 (象牙芽細胞)から 突起が入り込んでいる。その為、象牙質が露出すると冷たいものがしみる し、削られると痛い。だから、エナメル質が破壊されて 象牙質が露出すると、歯髄が露出 し ていることと同じ。


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エンドトキシン

エンドトキシン(Endotoxin)はグラム陰性菌の外膜に存在しており、リポ多糖を構成成分とす る物質です。様々な分野で研究されており、エンドトキシン、内毒素、リポ多糖、LPS、パイロ ジェンなどと呼ばれています。菌体が死んで溶菌するときや機械的に破壊されたとき、また菌が 分裂するときなどに遊離されます。マクロファージや顆粒球に作用して様々なサイトカインの産 生を促して、発熱を始めとする多彩な生物活性を示す。血中にはいると急性的に悪寒・発熱・低 血圧などを引き起こす。また加熱に対して安定であり通常の滅菌ではその活性は失われないので、 乾熱滅菌等で不活性化する必要があります。
構造
エンドトキシンの構造は大きく分けて、外界に向けて大きく突き出たO抗原多糖、それに続いて コア多糖およびリピドAと呼ばれる脂質部分の3部分から構成されます。このうちO抗原の糖鎖 は細菌の種類によって構造変化が最も大きな部分で、これによって菌それぞれが特異的な免疫反 応を引き起こします。細菌の種類によって最も変化の少ないのがリピドA部で、エンドトキシン の示す生物活性中心です。
生物活性
エンドトキシンが体内に侵入すると、マクロファージなどが活性化され蛋白質、酸素ラジカル、 脂質の3つのメディエーターを産出します。これらのメディエーターはそれぞれが独立に、また は共同して働き種々の効果をもたらします。メディエーターのコントロールされている場合は適 度な発熱、免疫系全体の活性化や殺菌作用など有益な作用がもたらされます。しかしメディエー ターが過剰に産出されてしまうと下に示すような有害な作用を引き起こします。
 エンドトキシンは、マクロファージのサイトカイン分泌を刺激す る。サイトカインは体蛋白質の分解を促進する。したがって、エンドトキシンによ り高度に汚染された透析液を使用すると、体蛋白質の分解が促進される可能性がある。


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サイトカイン

 ある種の細胞は一定の条件下で、生物活性を有する蛋白質性物質を細胞外に分泌します。こ のうち産生細胞がリンパ球(T細胞,B細胞,大顆粒リンパ球)である場合に産生される物質を リンホカインlymphokineといいます。しかし,多くの場合,マクロファージをはじめリンパ球 以外の細胞からも同様の物質が産生、分泌されることが多く、それらを総称してサイトカイン cytokineと呼びます。
 インターロイキンとはリンホカイン・サイトカインの一群で,リンパ球自身が産生し,リン パ球にはたらきかける液性因子humoral factorつまりリンパ球間の情報のやりとりを担う物質 に与えられた呼称です。サイトカインの単離・精製・構造決定が進み,それまで生物活性の違 いから,多くの名称で呼ばれていた因子を統合するためインターロイキンという呼称が順次与 えられてきました。現在のところインターロイキンとしてIL‐1からIL‐18までが知られてい ます。しかしこれらのうちIL‐1やIL‐6などは、リンパ球系以外の細胞からも産生され、免疫 系細胞以外にも作用することが判明していて、今日ではインターロイキンという呼称はその本 来の意味を失いつつあります。
 定義の混乱はそれらの活性の発見の経緯に起因しており、サイトカイン群のうち、主として 免疫系細胞への作用を担っている物質群をリンホカイン、あるいはインターロイキンと呼ぶ場 合もあります。
 炎症部位で主に活性化マクロファージから産生されるサイトカインであるIL-1、IL-6、TNF αは、破骨細胞性骨吸収の強い促進作用をもち、骨吸収性サイトカインとも呼ばれている。た だし、IL-1は単独での破骨細胞誘導能はなく、成熟した破骨細胞の活性化作用が強い。一方TN F-αはRANKLと同じファミリーの分子であり、前駆細胞に直接作用したり、支持細胞のRANKL発 現を誘導することで、破骨細胞の分化を促進する(図)。


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